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世界で活躍した日本人女性ヘヴィメタル・アーティストのSAEKOさんをインタビューしてきた

更新:2017年05月09日 カテゴリー:インタビュー タグ:, , , , , ,

世界で活躍した女性ヘヴィメタル・アーティストであるSAEKOさん
3月よりクラウドファンディングをはじめ、見事に100%達成!
これを記念して「ぼちぼち」がインタビューを行いました。

“SAEKO”復活プロジェクト

吉積 クラウドファンディング100%達成おめでとうございます。

SAEKO ありがとうございます。

吉積 早速ですが、CDを買ってもらって応援していただくのと、今回のクラウドファンディングでの応援に違いは感じましたか?

SAEKO そうですね。CDだと売上枚数とかはわかるんですけど買ってくれた人が誰なのかまではわからないんですね。クラウドファンディングはペンネームなどが表示されるので「この人知ってる」とか「この人はライブによく来てくれていた人」というのがよくわかるので、そういう意味では一人ひとりの支えとか想いというのがすごく実感できました。

プロジェクトの詳細はこちら
国際ヘヴィメタル・プロジェクト SAEKO 復活へ向けて! (5月19日まで受付中)

一貫してブレない信念と挑戦し続ける人生

吉積 今回「“SAEKO”復活」と題し、再挑戦を始めるSAEKOさんですが、その原動力はどこから生まれるのでしょうか?

SAEKO 30歳頃までは「歌で世界を救う」と本気で思っていました。「愛を歌って世界中に届ければ、戦争はなくなる!それが私の使命!」って…(笑)。30歳を過ぎるとさすがに無理だとわかりましたけど(笑)、それなら歌でいろんな人の心を救えないかなと考えるようになって…。そういう気持ちは今もありますね。

吉積 アーティストに批判はつきものですが、SAEKOさんは凹むことや悩むことはないのですか?

SAEKO 現実的に凹むことや悩みはもちろんありますよ、日々の生活のこととか(笑)。ただ自分が世に出した音楽作品について凹むことはあまりないですね。批判ばっかりなんでいちいち気にしていたら作品なんか作れないです(笑)。それに、本格的に音楽活動していた頃は悩むのもいいと思っていました。悩みを曲に書けばいいと。そうすると同じように悩んでいる人の心に届くんですよ。だから程よく悩まないと、逆にダメですね。毎日が順調過ぎると良い曲が書けない(笑)。

吉積 SAEKOさんが挑戦を諦めたことはなかったのですか?

SAEKO 諦めるというのはありました(笑)、でも諦めつつもこう、胸の奥でギリギリ残っているみたいな。昔、読んだ本で「闇夜の灯りを追うように進め」という言葉があったんですよ。遠くに灯りがある。でも、周囲は真っ暗で、その灯りまでの道が見えない。それで、手探りで灯りの方向に進もうとするんですけど、壁とかがあって前に進めない。そんな時は、前進するのを諦めるしかない。で、壁沿いに横に歩く。一見、灯りから遠ざかるように見えますけど、でも、これって完全に諦めてる訳じゃないんです。その灯りだけは見続けて、その時の状況で歩ける方向に歩く。するとある日、永遠に続くように見えた壁に、突然、穴や裂け目が現れる。灯りを見失ってなければ、その穴から壁の向こう側へ抜けて、遂には前進できる。そういうイメージです。

吉積 ところで、SAEKO さんって、ジャンル的にはヘヴィメタなんですよね?曲を聴かせて頂きましたけど、僕が思うヘヴィメタやジャパメタのイメージと違うので驚いたんです。今日の服装もメイクもナチュラルですし…。

SAEKO 今回は過去にリリースした曲のピアノ・アレンジなので、確かにヘヴィメタルって音ではないですね。あと、ヘヴィメタルを好きな人間は余り”ヘヴィメタ”って言葉を使わない気がします。だって、”ヘヴィメタ”って、大抵”奇抜な格好で叫ぶ悪魔?!”みたいなイメージでしょ?違います?でも、それって、日本の一部のメディアが作り上げたイメージであって、実際はナチュラルな格好のヘヴィメタル・バンドも多いんですよ。試しに、私が最も敬愛するシンガー Michael Kiske を画像検索してみて下さい。そんな写真は出て来ませんから…。でも、日本人がヘヴィメタルで成功するには、その”奇抜なヘヴィメタ”のイメージに合わせないといけないみたいな空気があって……でも、私はそうじゃないし、そうしたイメージの”ヘヴィメタ”じゃないヘヴィメタルで戦いたいです。

SAEKOの考えるビジョンと新しい「居場所」

吉積 クラウドファンディング目標額を達成し、音楽活動を本格的に再開しようとするSAEKOさんが考えるビジョンは?

SAEKO やっぱり私がずっと思っているのは一人の日本人として、想いを世界に英語で発信したい。誤解を恐れずにいうと、音楽活動だけではないんです。数ある表現手段の中で、自分には音楽が一番あっていると思うけれど、別の環境で育っていたら他の表現方法を選んだかもしれない。例えば、映画を見た時に感動するのって、映像を撮ったアングルとかではないでしょう?小説を読んだ時に感動するのも、文体とかじゃなくて…。もちろんアングルや文体の技術もないと感動しないんだけど、究極的に見れば、その作品を通して作り手が「何を伝えたかったのか。」という言葉にならないものに感動するんですよ。それが大事だから、私も音楽そのものを届けるというよりは私の気持ちや思想を表現したい。それが誰かの心に届けば嬉しい。クラウドファンディングを始めたのも、そういう想いを伝える場になると思ったからなんです。

吉積 現在、活動の拠点としてOBPアカデミアというコワーキングスペースで講演会やセミナーも開催されていますね。SAEKOさんにとってOBPアカデミアはどんな場所ですか?

SAEKO 私みたいな変わっている人を受け入れてくれる場所ですね(笑)。好きですよアカデミア。私、ここを拠点にしていなかったらクラウドファンディングしてなかったと思いますよ。なんか、予想外の方向に広がっていくのが面白いなって思います。私の挑戦に共感したアカデミアのスタッフさんが「クラウドファンディングしませんか」って誘ってくださって、気づいたらこんな感じになってました(笑)。まあ、これからもっと頑張らないとですけど。

SAEKOのワークライフバランス観

吉積 この「ぼちぼち」というメディアは、フリーランスのためのワークライフバランスマガジンなのですがSAEKOさんはワークライフバランスは取れていますか?

SAEKO 私は取れていないです(笑)。でもワークライフバランスについて語れますよ。私は昔、オランダに住んでいたんですけど、オランダの人はバランスがすごくよかったです。社会全体にある空気と思うんですけど、日本は「いっぱい仕事した方が偉い」みたいな感じがあるでしょ。あれが間違い。オランダでは「ずっと仕事している人=仕事できない人」なんですよ。仕事できる人はちゃんと時間内にし終わってる。それから遊べる時は遊んでるんですよ。仕事する時間は先に決まっていて、その時間内に全力で仕事する。それの方が能率がいいんですよね。日本では結構ダラダラと仕事をしてしまうからいつまでも終わらないし、疲れも溜まるんだと思います。それを変えていくにはルールを変えるんじゃなくて、みんなの価値観が変わらないと厳しいですね。

ニューリリース曲『Sa-Ku-Ra (2017 ver.)』に込められた想い

吉積 最後になりますが、『Sa-Ku-Ra(2017 ver.)』に込められた想いを教えてください。

SAEKO 『Sa-Ku-Ra』は第二次世界大戦で散った人々に捧げた鎮魂歌です。2005年に、こういった曲を私たち日本人が歌わなければ、亡くなった人たちの魂は悔やまれないなと思って、自分の中の祈りも込めて書きました。今回はそのリメイクです。リアルなエピソードを加えた方が、より深いメッセージを届けられるのでは…と思い、今回は更に曲の最後で亡くなられた特攻隊員、穴澤大尉の遺書を英訳して朗読しました。また、7月下旬にはこの曲のビデオ映像をYouTubeで世界発信します。この映像の最後にも、リアルなエピソードをもう一つ追加する予定です。これをきっかけに、日本語圏以外の方達も、特攻隊員の遺書に興味を持ってくださればと思います。
ちなみに、この曲と『No More Sins for the Gods(2017 ver.)』を、11年振りの新音源として、4月12日にデジタル・リリースしました。iTunesAmazaon MP3 などで試聴、購入できますので、良かったら聴いてやって下さい。あ、クラウドファンディングからは「限定DVD+CD」も入手できます……って、宣伝ばっかりですいません。でも、これが、アーティストのワーク収入源ですから(笑)。


SAEKOプロフィール

十代から海外音楽発信を志し2002年に単身渡欧。路上でのビラ配りから現地レーベルと契約、ソロ・アルバム2枚世界リリース(欧州全土、北南米、日本盤キング・レコード)2005年に世界最大級ヘヴィメタル音楽祭 Wacken Open Air に日本人女性として初出演、欧州ツアー。海外雑誌、海外TV/ラジオ等で多数取り上げられる。2006年に言語方面のキャリアを積む為に音楽活動停止。ライデン大学で英語言語と文化学修士号取得。帰国後、英詞事務所を設立。2011年ブータン国王ご結婚祝賀曲の英語作詞。2012年に東日本大震災被災者支援国際チャリティソング (40カ国以上参加) 英語作詞と歌唱担当。翌年、「まつりIN台湾」前夜祭(日本代表)、本イベント(オープニング及びエンディング・アクト)で上記チャリティソングを披露。

SAEKO オフィシャルサイト
SAEKO オフィシャルYouTubeチャンネル
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今回のインタビューを含む動画もご覧ください

SAEKO(北前佐枝子)/ SA-KU-RA (2017 ver.) Official Music Video 字幕付


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