search
ぼちぼち

この街で暮らす、働く、遊ぶ人のための話題とコミュニティを提案する大阪ローカルメディア

※当サイトではアフェリエイト広告またはプロモーションを含みます

大人の社会見学!西陣織をルーツに持つ福井県丸岡の織ネーム工場を取材させて頂きました。

更新:2020年11月28日 カテゴリー:インタビュー, 社会見学 タグ:, ,

皆さんは「織ネーム」とは何かわかりますか?洋服に必ず付いているブランド名のアレです。

今回、私は自分のオーダースーツのお店を開店することになりました。そこで必ず必要になるのが自店の織ネーム。

そんな時に偶然、友人の知り合いに実家が織ネーム工場を営んでいる方がいると聞きます。それが南川太志さんでした。

昔の織ネーム工場は、何千枚〜万枚単位が普通で、問屋さんを通してしか受注していなかったようです。しかし近年、アパレル消費の動向は急激に変化しており、百枚単位のオーダーを直接受ける工場も出てきました。

そんな訳で、今は私のような個人のお店でも直接オーダーが可能とのこと!南川さんのご実家の工場は100年近い歴史があり、高品質な織ネームを作成するこだわりの会社です。

南川さんとお話して、織ネームの深い世界に非常に興味が湧きました。そしてもっと知りたい!と思い、南川さんのご実家である株式会社南川織マークを取材させて頂くことになりました。

丸岡町の織ネームのルーツは京都の西陣織

南川さんのご実家「株式会社南川織マーク」は福井県坂井市丸岡町にあります。古い天守閣が残る丸岡城で有名な場所ですね。彼のひいおじいちゃんが大正13年(1923年)に設立した由緒ある工場だそうで、もうすぐ100周年です!

昔の工場も見学させて頂きました。

丸岡町の織ネーム工場のルーツを辿れば京都の西陣織。大正時代、丸岡町の有志が技術習得のため京都で西陣織を学びます。それを地元に持ち帰り、細幅の織物業として確立していったそうです。

97年の歴史を感じる工場

工場の案内をして下さったのは、太志さんのお父さんで3代目社長の南川直人さん。坂井市の市議会議員もされています。

工場に入ると、背の高い織機がずらりと立ち並ぶ圧巻の空間。そして、絶え間なく続くリズミカルな織機の音の洪水!隣の南川社長の声を聞き取るのもやっとです。

織ネームのしくみ

織物というのは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に織ることでできています。緯糸を通す「シャトル」が経糸の間を渡るのですが、どこを通してどこを通さないかで柄を表現します。

現在はその情報をデータとして織機のコンピュータに入力します。しかし、昔の織機はその情報を1枚ずつのパネル(パンチカード)に現していました。

私の隣にたくさん連なったすだれのように見えるパンチカード。あれに丸の穴がたくさん空いています。あの一枚が、シャトル1回分の緯糸の情報です。織りネーム1つにつき、数百回の緯糸が通るので、それだけのカードが連なっているのです。すごいアナログな世界!

こんなに古い織機がまだまだ現役で稼働していることに感動しました。

織り方の種類

織り方も何種類かあります。平織や朱子(しゅす)織、そして最近人気なのは色柄をきれいに見せる高密度織。デザインやイメージによってそれぞれに最適な織り方を決めるそうです。

デザインだけでなく、幅と長さでも雰囲気がかなり変わってきます。こんなに小さな織ネームひとつひとつにも、ブランドのこだわりがぎゅっと詰まっているんですよね。私も素敵な織ネームを作ってもらいます!

丸岡の織ネーム業界について

今回の取材に当たり、南川太志さんに業界の現状を数字で知りたいと伝えました。組合の定期刊行物から数字を調べて、詳細なデータとして渡してくれました。それを見ると業界の危機的状況が分かります。

丸岡ファインテックス協同組合の資料によると、組合に加入している会社は1968年の505社をピークに2020年現在は何と37社にまで減少。

1990年には2950台あった織機も、現在は871台と3分の1以下になっています。これだけ見ても、いかに業界が苦しい状況かわかります。

南川さんの工場でも、全部で43台ある織機のうち5〜6割しか現在は稼働していない状況だそうです。

高品質の「越前織」ブランド

丸岡町の織ネームは「越前織」と名付けられ、高品質な細幅織りとしてブランド化されているほど。その美しい色合いや、細密なデザインを織物として表現する技術などは、やはり歴史あるメイドインジャパンの強みです。

丸岡城の入城券に越前織が付いていました。持ち帰ってしおりに使ったりできますし、記念に残しておける、すごく良い取り組みですよね!

今は、和紙の糸で作る織ネームや、ペットボトルから再生された糸を使った環境に配慮した織ネームなど、新たな挑戦もされています。SDGsの観点からも、とても大切な取り組みですね。

織ネームの可能性

普段は裏方として見えない場所にひっそりついている織ネームですが、まだまだ可能性はあると思っています。100枚単位などの小ロットの対応もしていくとのことで、多少割高にはなりますが、個人の方でも自分のオリジナル織ネームが作れるようになってきています。プリントにはない高級感とオリジナリティが、織ネームの魅力です。

結婚式用に2人の名前を織り込んだり、チームやグループのオリジナル織ネームや、子供の名前をデザインした織ネームなど。まだまだこれからたくさんの可能性がありそうで、ワクワクしますね!

まとめ

普段着ている洋服についている織ネーム。何気なく見ているあの小さな織物にも、深い世界と物語があることに感動しました。オトナの社会見学いいですね!

私のお店は現在、2021年1月オープンに向けて鋭意準備中です。お店の織ネームも依頼中ですので、どちらも出来上がりをお楽しみに!こちらの船場ビルディングも、1925年に建てられた大正レトロな文化財です。

越前織の情報

今回取材させて頂いた株式会社南川織マーク


〒910-0251 福井県坂井市丸岡町一本田福所16-21-1
0776-66-3800

ご紹介した福井県坂井市丸岡町の越前織。ホームページはこちらです。

http://www.echizenori.jp/

丸岡町の織ネームの歴史をもっと詳しく知りたい方はこちらを参照ください。

http://www.ywl.co.jp/ayumi/ayumi01.html

今回、取材旅行をご一緒したうっちーが福井県坂井市の魅力をふんだんにご紹介!こちらの記事もぜひご覧ください。

コメントを残す