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【おとなの社会見学】奥深いボタンの世界-大阪柏原市のボタン工場を見学してきました!

更新:2021年06月11日 カテゴリー:インタビュー, ファッション, 社会見学 タグ:, , , ,

こんにちは!船場ビスポーク店主の瀬島京子です。ぼちぼちでの取材は久しぶり!今回は柏原市の歴史あるボタン会社さんに行かせて頂きました。

きっかけはライターのうっちーからのご紹介。今住んでいる大阪府柏原市に歴史ある釦メーカーさんがあるよ!との情報。(柏原市についてはうっちーの古賀印刷さんの記事を参照ください!)

ポリエステルボタンの材料で、かわいいピンズ(ピンバッジ。ジャケットの襟につけたりするアレです)を作っている、というお話を聞きました。

早速インスタグラムを拝見したところ、おおー!絶妙な色味とかわいいデザイン!原材料がボタンと同じというのも惹かれるポイントです。

ということで、うっちーのご紹介で販売元である司商事さんにお邪魔することに!

今回はうっちーアテンドの下、カメラマンちゃっぴいさん、インタビュアー私の3人で行ってまいりました。

色とりどり、デザイン豊富なボタンの数々

店内に入ると色とりどりで豊富なボタンの数々にテンションが上がります!

私もオーダーメイドの仕事をしていて、スーツやシャツに付けるボタンひとつで大きく印象が変わることを実感しています。奥深いボタンの世界…

司商事と松村釦

そしてこの日は特別に、併設するメーカーの「松村釦株式会社」の工場見学もさせて頂くことができました。

一般向けにボタンの小売販売をしている司商事株式会社は1974年設立。もともとは1949年創業のボタンメーカー「松村釦株式会社」の商社として分社したそうです。

松村釦株式会社の現社長・松村雅司氏は創業者のご子息。そして司商事株式会社の社長は、奥様の松村園子さん。ご夫婦ともに社長さんとはすごい!

お互い独立した会社としてそれぞれ経営をされていて、夫婦というよりはお互い社長としてのリスペクトを感じます。その辺のお二人のやりとりも、とても興味深く拝聴しました。

ファッションの世界に身を置くものとしては、創業時からの会社の紆余曲折のお話に興味津々!

戦後〜高度成長期〜バブル期〜バブル崩壊後の不景気…アパレル業界も大きく変化しましたし、何度も危機があったと思います。

もっと色々お聞きしたかったのですが、この日はあと2社見学取材が控えていたのでそろそろ工場の見学に移動です!

ポリエステルボタンの特徴

こちらの松村釦株式会社では、主にポリエステル樹脂のオリジナル釦の開発製造をしています。

1949年創業当時、世間には貝や木などの天然素材のボタンしか存在していませんでした。世間は戦後復興の時期、創業者である先代が天然素材に代わる原料としてポリエステル樹脂に注目。いち早く取り入れたのは先見の明ですね!

ポリエステル樹脂のメリットとしては、まずは強度です。私もシャツのオーダーを承るときに必ず聞くのが、「クリーニングですか?家洗いですか?」クリーニングに出す場合、貝や木などの天然素材ボタンだと割れてしまうことが多いんです。

もうひとつは、多様な色やデザインが可能ということです。階層状にすることで、様々な模様を出すこともできます。これもポリエステル素材ならではですね!

ボタンができるまで

こちらの工場の工程は大きく以下になります。

①原材料であるポリエステル樹脂の調合と生産

②イタリア製自動機械によるボタン加工(削りだし)

③仕上げ(研磨・つや出し)

④(必要に応じて)レーザー彫刻

⑤検品・出荷

さて、工場の中に入っていきましょう!

①ポリエステル樹脂の調合・生産

まさに工場見学!ワクワクドキドキです!

そこはまさに「工場」という雰囲気。ボタンの原材料になるポリエステル樹脂はもともとは透明で、そこに染料や薬品を調合してオリジナルカラーのボタン原材料を作成します。温度や湿度によって固まるスピードが変わるため、そこは職人の長年の勘が大事になってくるそう。奥が深いですね~。

②機械でボタンに加工

ポリエステル樹脂のシートからボタンの丸型にくり抜かれた後、削りだしはイタリア製の機械。レーザーにより自動でボタンの表裏を認識、それがボタンのデザインに合わせた刃で削られます。ボタン一個の削り出しにかかる時間はわずか2〜3秒。あっという間にボタンができていきます!

その鮮やかな刃の動きはずっと見ていても飽きません。私はそんなに機械好き!というタイプではありませんが、そんな私でも工業機械の動きの精密さとスピードには目が釘付けになりますね。

くりぬかれた後のポリエステル樹脂のシート。粉砕されて利用されるそう。無駄がないですね!

③仕上げ(研磨・艶出し)

いちばん驚いたのはこの工程です。

削り出した後、細かい石と水の入ったドラマ式の機械に投入。一晩ぐるぐるとそのドラマの中で回して研磨し、ボタンを滑らかにするそうです。

あの大量のボタンを、全部一晩も研磨するとは!

さらに次は艶出しのため、木や竹の細かなチップの入ったドラム式の機械でまたぐるぐると研磨。

この機械の中に木や竹のチップが入っていて、ぐるぐると回っています。

このような丁寧で細かな工程を経て、美しい光沢のあるボタンが出来上がるのですね。いやー感動です。

④レーザー彫刻

皆さんもブランドの名前が刻印されたボタンを見たことがあると思います。それがこの工程です。出来上がったボタンにレーザーで彫刻していきます。

コンピューターで文字をプログラミングし、レーザーで彫刻していきます。そのスピードは一瞬!

こんなに細かい文字彫れるんだ!と驚きました。直径1センチほどのボタンに1ミリかどうかというほど小さな文字が刻まれています。また、表面だけでなく側面(ボタンの横の部分)にも彫刻が可能です。

オリジナルボタンは私も憧れです。オーダースーツの世界でも、ゼニアやドーメル、スキャバルといった一流ブランドにはオリジナルのボタンと裏地の見本があるんです。いつか船場ビスポークのオリジナルボタンを…またひとつ夢ができました!

丁寧にご説明くださる松村雅司社長。20代で入社した頃は現場での製造や企画開発を担当。社長のモノづくりのご経験が今の会社の骨子になっているように感じました。

⑤検品・出荷

最後は出来上がったボタンの検品。

これがまた驚いたことに、ひとつひとつ人の目で選別されるんです!ベルトコンベアで流れていく大量のボタンを、熟練の職人さんが目視でひとつひとつ検品するんです。なんて根気の要する作業…。

お昼時に皆さんが離席したタイミングで、検品ではじかれた商品を見せて頂きました。

説明くださったのは取締役である松村裕子さん。ありがとうございます!

明らかにカケやキズがあるものはむしろまれで、素人目ではどこが問題なのかわからないレベル!品質の基準が厳しいんだなぁ…

このように、どれだけ機械化や自動化が進んでも、随所の職人技無くしてはものづくりは成り立たないということを実感しました。

経済産業省から「頑張る中小企業300社 わざ部門」に選ばれた記念の盾と、日本釦協会からの奨励賞。ボタンに常に新しい価値を追求する姿はまさに職人技です!

ぜひ一度直営店に行ってみて!

数多くのボタンが展示販売されているので、手芸やアクセサリー作りがお好きな方にはぜひおススメです。こちらはメーカー直営店なので、種類も豊富ですし1個から販売しています!

またこちらでは、ポリエステル樹脂の長年の研究開発のノウハウを活かし、ノベルティーなどオリジナル製品開発のご相談を受けていらっしゃいます。

オリジナルの素材で色んなものをつくることが可能です。ぜひご相談してみてください。

ボタンやピンズに限らず、こんなものも作れるんだ!というアイデア商品もたくさん。ボタンが欲しい方はもちろんですが、興味ある方はぜひ一度店舗に足を運んで色々と相談してみてください。

もともとはボタンを作った後の廃材利用や、サンプルとして作ったポリエステル樹脂のシートを無駄にしないためにと始められたのが、このピンズのプロジェクト。

ブランド名の「NOVO」はラテン語で「新しい(NEW)」の意味です。松村釦のブランド「NEWS」とリンクさせたネーミングには「なるほど!」常に新しい価値を追求する松村釦さんにぴったりですね!

ただ今、こちらの商品をお店に置かせて頂くため、内容について色々ご相談しているところです。お店でのお披露目をお楽しみに!

直営店へのアクセスとURL

〒582-0015 大阪府柏原市高井田535

℡ 072-976-2215

JR大和路線 高井田駅 徒歩3分

近鉄大阪線 河内国分駅 徒歩9分

司商事株式会社

https://tsukasa-shoji.com/

「ボタンのTSUKASA」ネットショップ

https://tsukasa-button.shop-pro.jp

「NOVO」ネット販売

https://minne.com/@novo15

取材後記

洋服の資材であるボタンにもこれだけのこだわりが詰まっています。そしてさらに生地や縫製…私が扱うオーダーメイドスーツは職人技の集合で、たくさんの人の想いを集めて出来上がります。私のようにお客様に直接接する者はそれを伝える責任がある。改めてそのように感じました。

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