ラプソディー・オブ・ファイア・インタビュー:大阪公演 2019
目次
Rhapsody Of Fire 〜 The Eighth Mountain Japan Tour 2019 〜
“ぼちぼち”音楽リポーターのSAEKOです。今回は、先月来日公演(大阪公演は6/6[木])を行ったラプソディー・オブ・ファイアのライブレポとインタビューをお届けします。
Rhapsody Of Fire の紹介
もちろん今回も、ヘヴィメタルをよく知らない読者のために、バンド紹介から始めたいと思います!
イタリア、トリエステ出身。1993年にギタリストのルカ・トゥリッリ、キーボーディストのアレックス・スタロポリ、ドラマーのダニエル・カーボネラが中心となって前身バンド Thundercross を結成。当時から既にクラシック音楽とヘヴィメタルを融合したシンフォニックなサウンドを目指していた。その後、バンド名を Rhapsody に、更に2006年に権利関係の問題から Rhapsody Of Fire に変更。彼らがイタリアやヨーロッパのシーンに与えた影響は大きく、現在では“シンフォニック・パワー・メタル”のパイオニア的存在として世界で知られている。
とは言え、“ぼちぼち”は、ヘヴィメタル・ファンだけでなく、ヘヴィメタルをよく知らない読者に向けたメディアなので、ここでちょっぴり“シンフォニック・パワー・メタル”とは何ぞやというお話を……。
わかりやすく言うと、弦楽器など、美しくてクラシカルな音色やメロディに彩られたドラマティックなヘヴィメタル。ボーカルも低音から高音まで広い音域を歌いこなし、オペラ歌手としても通用するのではないかと思うようなタイプが多い。ヘヴィメタルならではの疾走感と熱さは勿論だけれど、バラードは非常に美しく、その心安らぐ音の世界に、時には涙さえ出そうになってしまう。そうした“緩急とメリハリ”がこのジャンルの魅力の一つだと思う。中でも Rhapsody は、コーラスを含め、スケールが本当に壮大で……日本デビュー盤を初めて再生した時、間違えてオペラか何かのCDを入れてしまったかと思った人も多いのではないだろうか。
文字だけ読むより“音”を聴くのが一番だと思うので、日本デビュー盤のイントロ“IRA Tenax”とその次の“Warrior of Ice”のリンクを貼っておきますね(↓)。97年のCDなので、今と比べると音質は良くないけど、でも、初めてこのバンドに触れた時の衝撃を知ってもらうにはこのデビュー盤かと……。
ね、オペラが始まるのかと思ってしまうでしょ?
魔法と剣の織りなすファンタジックな世界。聴くと、否応無しに「よし、戦うぞ〜!」って気持ちになってしまうでしょ?(私もそうでしたが、97年にこの音を聞いたメタル・ファンの多くが「うぉぉぉぉ!」って盛り上がっただろうと思います。)
リーダーのアレックス・スタロポリは、キーボードのサンプリング音源ではなく、本物の楽器、本物のオーケストラとの共演に拘りがあると言います。その辺りも、「ヘヴィメタルはうるさいだけの音楽」と思っている人には意外ではないかと思います。オーケストラとの共演映像や、そこに込めた想いについてアレックスが語っている動画を貼っておくので、是非一度見てみてください。字幕は英語のみなので、日本語訳を書いてみました(▽)
俺の最近の作品はどれも、本物の楽器による演奏を重要視してる。近年、サウンドライブラリーやサンプル音源なども、信じられないほど高品質になっているけれど、それでもやっぱり、本物の演奏家には、どの様にその曲を再現して欲しいか、詳しくお願いできる。40〜50ほどの異なる要素からなるオーケストラなんかは特にね。俺の兄弟にフルートやオーボエの演奏を頼んだ時のように、一人にお願いすることもあるけど。とにかく、生きた人間に本物の楽器を演奏してもらうことは非常に大切だ。オーケストラ演奏は、彼らのアプローチの仕方、部屋の振動やその残響、自然な空気の流れ、全てを録音できる。音と音の間の静寂な瞬間さえも、全てが重要だし、全てに意味があり、最終ミックス時に、キーボードのサンプリング音源では再現できない”何か”をもたらしてくれる。
もう長年 Vito Lo Re とコラボレートして、一緒に仕事しているよ。彼は素晴らしいソングライター、アレンジャーで、オーケストラ用にスコアを用意し、指揮もできる。
その彼が一度こう言ったんだよ。
「今、仕事しているブルガリアのソフィアの新しい楽団と一緒に録音すべきだよ。」って。
俺は彼の言葉を信じて、Vito と一緒に現地へ行った。
人生で最高の経験だったね。600以上のサントラを演奏したオーケストラで……オーケストラのクオリティは勿論、ローマから最先端の録音チームも来ていたんだ。彼ら、Ennnio Moriconne 達と仕事してたんだぜ。要するに、ロケーションも設備も技術も、Rhapsody Of Fire のオーケストラ・レコーディング経験の中でベストだった。俺の友達の Neil Johnson も来て、イメージ動画を録ったね。2時間で全て録り切ったよ。スタジオ・チームも最高で、彼らは本当に完璧主義者だ。どんなミスも聴き逃さないし、改善できる箇所は全部聴き取った。俺は美しい音楽を聴きながら、そこに座っていたけど、彼らは本当に……ただ録音するだけじゃなかったね。経験豊富でいて、同時に柔軟に全て聴き取る耳を持ってた。この素晴らしいサウンド、素晴らしいオーケストラと新曲を録音できて本当に幸せだ。聴きながら、どんなミックスが出来上がるだろうって想像したよ。
今振り返っても本当に幸せな経験だったし、次のアルバムでもあそこへ行って、プロフェッショナルな彼らと仕事したい。本当に気持ちが高揚する経験だからね。
さて、ここで、最新作からプロモーション動画をお届けしましょう(▼)。ちなみに、バンド創設時からリード・シンガーだったファビオ・リオーネが2016年に脱退し、現在の Rhapsody Of Fire のシンガーは、ジャコモ・ヴォーリ。勿論、ファビオに思い入れのあるファンも多いと思うけれど、(どちらがより優れているかという話ではなく)ジャコモの歌声はファビオよりも優しくってまろやかで……私は好きです。特にバラードなんか、めっちゃ泣かします!(バラードをうまく歌う方が、激しい曲をシャウトするより難しいのです!)
この曲、もともとは日本のファンへの特別プレゼントとして作られた曲だったそうです。(キングレコードによる王様ロックTVのインタビューをご覧くださいね!)そして、私 SAEKO ですが、実はバンド側からこの曲の日本語による作詞を依頼されまして……キングレコードから発売されているCD「ジ・エイス・マウンテン~第8の山岳」に収録されているので、是非、購入して聴いて頂けると嬉しいです。ジャコモの日本語の発音は完璧だし、日本のアニメやゲームの主題歌になったら面白いのになぁと思ったり……。
ライブレポート
では、6月6日のレポートを……。重厚なイントロ「In Principio」に続き、疾走ナンバー「Distant Sky」で幕を開けた大阪公演、最初から盛り上がっていたが、2曲目、3曲目、そして、4曲目と進めば進むほど観客が盛り上がっていく。彼らの持ち味の一つである覚えやすいサビ・メロディ、これがライブでは観客の間に非常に強い一体感を生み出す。観客たちはメロディに合わせて勇壮に拳を振り、サビでは一緒に歌い……民族音楽調の「March Of The Swordmaster」などは、サビどころか出だしから会場全体が大合唱。後半は、長年のファンにお馴染のナンバーが次から次へと繰り広げられ、観客の間に戦いへ赴く(?!)雄叫びが広がり、もう止まらない……会場全体に、終始明るい高揚感が漂っていた。
最後に、この日本ツアー、実は私が大阪・東京と同行してプロモ協力したのですが、そのせいか、ボーカルのジャコモに私のアクセントをうつしてしまった模様。ライブ中、彼が何度も言ってくれた「ありがとう!」が、思いっきり関西弁になってしまいました。でも、大阪人としては嬉しいですね(笑)。
セットリスト
- In Principio
- Distant Sky
- The Legend Goes On
- Dargor, Shadowlord of the Black Mountain
- The Courage to Forgive
- March Against the Tyrant
- Dawn of Victory
- The Wind, the Rain and the Moon (Italian)
- Rain of Fury (Japanese)
- Warrior Heart
- Holy Thunderforce
- Reign of Terror
- Flames of Revenge
- Master of Peace
- Land of Immortals
- Emerald Sword
その他ライブ写真は 公式インスタグラム をご覧ください!
インタビュー
ライブ前に、ボーカルのジャコモ・ヴォーリとキーボードのアレックス・スタロポリにお話を伺いました。今回も音楽の話だけでなく、故郷のお話や大阪の印象など、様々な角度からミュージシャンの素の顔をお届けします。(画面右下の設定ボタンで、日本語字幕を表示してご覧ください)。
Rhapsody Of Fire 関連リンク
オフィシャルサイト(英語のみ)/ Facebook / Instagram / YouTube チャンネル
最新アルバム
- ジ・エイス・マウンテン~第8の山岳(日本発売元:キングレコード)
大阪での素晴らしいステージ、有難うございました!!
Office Shinpuh 代表、英語作詞家、翻訳家(Wikipedia)
’02年に単身で欧州メタルのメッカ、ドイツへ渡り、路上でのビラ配りから現地プロダクションと契約、SAEKO名義でアルバム(CD)2枚世界リリース(欧州、北南米、日本)。’05年に Wacken Open Air にアジア人女性として初出演、DORO など海外有名メタル・アーティスト達と欧州ツアー。海外メディアで多数取り上げられるが、著作権の虚偽登録や契約不履行等の被害を受けて’06年に挫折。
その後、オランダのライデン大学で英語言語と文化学 修士号取得。英詞事務所 Office Shinpuh を立ち上げ、2011年ブータン国王ご結婚祝賀曲の英語作詞。翌年、東日本大震災被災者支援国際チャリティソング英語作詞と歌唱担当。また、米国バークリー音大の講座などで日米の著作権法を学び、2017年にはドイツ人弁護士と共に大陸間交渉で権利を取り戻し、過去の楽曲SA-KU-RAをリメイクして再リリース。現在、歌手活動の再開に向けて奮闘中。
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