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【大人の社会見学】祭を支える日本の染め技術−岡田染工場さんに行ってきました!

更新:2021年06月17日 カテゴリー:その他, インタビュー, 社会見学 タグ:, , ,

うっちーアテンドによる大阪府柏原市の歴史ある工場をめぐる見学ツアー。(うっちーの古賀印刷さんの記事はこちら) 松村釦株式会社さん(記事はこちら)に続いては、岡田染工場さんにお邪魔してきました。

56年の歴史ある手染め技術「岡田染工場」

こちらの工場では主に、祭の法被(はっぴ)や幟(のぼり)の染め抜きをしています。岸和田のだんじり祭りや大阪の天神祭など、大阪は祭文化がまだまだ根強い地域のひとつですよね。柏原市も地元のお祭がずっと残っているそうです。

祭に染め物は欠かせません。お揃いのはっぴや手ぬぐいはいわばユニフォーム。町内会や各チームの結束力を高めるだけでなく、伝統ある紋様を代々受け継ぎ、次の世代にそれを伝えるという文化的な重要性もあるでしょう。

お話をお聞きしたのは、代表で2代目の岡田元(はじめ)さんと、奥さまの美紀さん。

岡田染工場の創業は1965年。先代であるお父上が染工場を起こされたとのこと。

代表の座は2代目の元さんに譲ったものの、今でも現役でご一緒にお仕事をされているそうです。(この日は残念ながらお目にかかれませんでしたが。)

代表の岡田元さんと奥様の美紀さん。お二人は大阪芸術大学美術科の同級生だそう!

染工場は昔ながらの日本家屋。土間で靴を脱いで、畳敷きの大きな広間に通して頂きました。

間の襖を取り払い、二間続きにしているので広々としていて、奥には染め抜かれたはっぴがいくつもかかっています。

コロナ禍の影響

このコロナ禍の前には、お近くにゲストハウスがあって、そこに泊まられる海外の旅行者の見学も多かったそうです。残念ながら今は全くありません。

私たちのような日本人でも、なかなか最近お目にかかれない伝統的な畳敷の大広間に感激!外国の方ならばなおさら喜ばれることと想像します。

コロナ禍で祭も中止。昨年は、はっぴの注文も全てストップしてしまったそう。今年もまだどうなるかわからないものの、なんとか祭りを安心安全に開催できる形を模索している地域もあるようです。少しずつまた以前に戻ることを願うしかありません。

オリジナリティの模索

細かいけれどもダイナミック!岡田さんのデザインは伝統的な意匠と、大学の美術科で培った美的センスが絶妙に融合しているように感じました。古さと新しさ…いいバランスでどちらもが感じられるのです。これは元さんならではと思いました!

細い線が切り取り線で、この1枚の布からはっぴが作られるのだそう。着物と同じく1枚の布から作られる無駄の無さにおお~なるほど!と感動。
なんとふすまの絵も岡田さんのデザイン!斬新です!

こちらのこけしのデザインも岡田さんのもの。手ぬぐいやトートバッグなどの商品があり、購入可能です。これは外国の方にも人気ありそう!

コースターも置いてあって、実際にその場で購入することができます。コースターは私も実際に3枚購入して、お店で使わせて頂いています。どれを選んだか気になる方は船場ビスポークでご確認ください(笑)

はっぴの残り布を利用して作られたコースター。だから1枚ずつ微妙に色が違うのです。1枚350円という良心的な価格で、何枚も欲しくなってしまいます。迷うこと必至!

手染めの工房を見学

お話を聞いた後、実際に作業場も見学させて頂きました。

今でもすべて意匠は手彫り。その細かなこと!修業時代は新聞の文字などを彫って練習したそうです。気が遠くなりそうなくらい根気と集中力を要する仕事です。彫っているときの集中力たるや、奥様でも声を掛けることはできないとか。

またお話の中で驚いたのは、染めのにじみまでもを計算して彫っていくというのです。それは逆に機械では不可能なことで、そういう絶妙な塩梅というのが職人技なのですね。

注文依頼について

こちらでは、団体のみならず個人の方からのご依頼も受け付けているとのこと。はっぴは10着~、手ぬぐいは50本~くらいからご相談可能だそうですよ!

型代は最低約3万円~だそうですが、デザインの細かさなどによって異なるのでご相談ください。

基本的に持込のデザインでの対応、もしくは岡田染工場のデザインから選んで頂く形になります。見学も受け付けているとのことですので、気になる方はぜひ一度見学していろいろとご相談してみてください!

※詳細は下記ホームページをご確認ください。

https://number3339.wixsite.com/okadasenkoujoh

また、7月頃をめどにホームページのリニューアルとネットショップを開設する予定とのこと。これは楽しみですね!要チェックです。

おまけの裏話

染工場のお話ももちろんですが、お2人の職人気質というか、芸術的センスがまた素晴らしくてそちらにも興味津々!お2人とも大阪芸術大学美術科の同級生だと聞いて、やっぱりなるほどと納得。

実は、奥様も知る人ぞ知る人形作家さん!「はないっちゃんの庭」というシリーズで個性的なぬいぐるみを数々生み出しているアーティストなのです。

もともとは、はっぴの端切れを利用して何かできないかと作り出したのがきっかけだとか。

実はここには裏話があります。私もお店で不要になった生地のバンチブック(見本帳)を利用してぬいぐるみや小物をつくれないかと考えていました。それをある方に相談したところ、美紀さんにぬいぐるみを依頼していたことが判明!それがこちらです。

1体ずつに名前がつけられています。同じものはふたつとないオリジナリティがまた魅力です。

まさかこんな形でつながるとは…ご縁とは不思議なものですね。私も改めて船場ビスポークのオリジナルマスコットをご依頼したいと思っています!

岡田染工場へのアクセス

〒582-0008 大阪府柏原市古町1丁目3-21

Tel 072-972-3339

JR大和路線 柏原駅より徒歩6分

https://number3339.wixsite.com/okadasenkoujoh

取材後記

日本の伝統的な手染め職人さんに直にお話を聞くことができたのは貴重な機会でした。

国内では少子化や地方の人口流出などの影響から、祭を開催する自治体も減ってきています。また、幟(のぼり)やのれん、旗なども生活様式が変化するに従って減ってきているのが現状でしょう。しかし、実際にはっぴなどを拝見して、その日本ならではの伝統的なデザインと精緻な彫りの技術に本当に感激!伝統的なだけではなく、そこに岡田さんならではのセンスが加わってさらに希少な価値を感じます。

ぜひとも日本全国、さらには海外にも、この素晴らしいデザインと技術を知って頂きたいなあと感じました。

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