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「失敗を肯定して、多様性を生み出したい」失敗展主催者の遠藤さんに直撃!

更新:2020年03月20日 カテゴリー:イベント, インタビュー タグ:

私(にっしー)が勤務するコワーキングスペース ONthe UMEDAでは、本日から3/31(火)まで「失敗展」が開催されます!
失敗に対するさまざまな価値観や向き合い方に出会えるこの失敗展は、子どもから大人まで幅広い年齢層が楽しめる、「失敗の展示会」です。

そんな展示会がONtheで開催されることになったため、今回は失敗展の主催者である遠藤百笑(えんどうももえ)さんにお話を伺いました!

失敗展を開催する理由や失敗展にかける想い、また遠藤さんご自身のことについてなど、非常に充実した内容となっています。
失敗展のことを知りたい方、そして遠藤さんのことを知りたい方は、ぜひご覧ください!

遠藤さんの今までと現在

失敗展のことをお伺いする前に、まずは遠藤さんご自身のことについてお伺いしました。
以下、私の発言は「に」、遠藤さんの発言は「遠」と記載いたします。


「まずは遠藤さんご自身のことについてお伺いしたいと思います。
遠藤さんは小学校のときや中学校のとき、周りからどういう人間と言われたりとか、何か好きなことはあったりしましたか?」


「小学校に上がる前から、とにかく絵を描くことが好きでした。絵を描いたらみんなが喜んでくれるし、褒めてくれるし、本当に好きでした。
小学校4年生ぐらいのころから自分で漫画を書くこともして、オリジナルのキャラを描いたこともありますね。
中学生の時には、友達と一緒に漫画を描くこともしていたぐらい、本当に絵が好きでした。

高校では絵だけじゃなく、彫刻をやったりアニメーションを作ったりもしていたので、”なにかを創る”ことが好きだったとも思いますね」


「絵を描くだけじゃなく、なにかを創り出すことが大好きなんですね!」


「そうなんです! 私はそんなに社交的な人間ではなかったんですけど(笑)、でも”何かを創る”ことは好きな人間でした」

コミュニティに興味があったんですか?

とにかく絵を描くことが好きだった小学校から高校の後、遠藤さんは”コミュニティデザイン”を学ぶ大学に進学されます。
そのきっかけには、東北を襲った震災が関係していました。


「中学2年生のときに福島で震災を経験しました。 家は半壊してしまいましたが、内陸だったので幸いにも大きな被害を被ることはなかったです。
ただ、まさに今の子どもたちと同じように、春休みが長くなってしまいました。物資がなくなることもあって、てんやわんやしたことは覚えていますね。

そんな中、高校に上がったときにある違和感を覚えてしまいました。
福島は原発の影響があったので、ほかの地域よりもいろいろと悪く言われることが多かったんです。
“当たり前に暮らして来た場所が、突然悪く言われてしまう”
この感覚に、すごくびっくりしてしまいました。

特別地元愛があるわけではなかったんですけど、何も悪いことをしていないのに悪く言われてしまうのが、とても強い違和感を覚えましたね。

そのときに、

人と人との繋がりって何なのだろう?

そういう疑問がふと生まれました。

そういった疑問に加えて、何かを生み出すことが好きな人間でもあったので、高校の先生が教えてくれた”コミュニティデザイン学科”を選びました。
故郷のこととか、人と人とのつながりとかが気になるし、デザインにも興味があることも決め手になりましたね」


「2014年にできた学科ということで、比較的新しいところなんですよね」


「そうですね、私は2期生として入学したことになります。地域とか、人と人とが集まった組織をどうデザインするか、を勉強しました。
とにかく地域に出ていって、ひたすら実践しながら、アクションベースで活動する学科でしたね」

コミュニティデザイナーって?

遠藤さんは、現在NPO法人Co.to.hanaでコミュニティデザイナーをされています。このコミュニティデザイナーのこともお伺いしました。


「遠藤さんは現在コミュニティデザイナーをされていますが、主にどういったことをするお仕事なのでしょうか?」


「人との関わりを設計したり、社会課題を解決したりすることが主にはなります。 ただ、Co.to.hanaはデザインに特化している部分があり、”困っていることを可視化・言語化する”ことも行なっています。

本当に困っている人に必要な情報が届くことをお手伝いしていますね」

大学で学んだことをそのまま活かし、仕事にしている遠藤さんの表情は、とても充実感が溢れていました。

失敗展とは何?何回ぐらいやってるの?

ここまでは遠藤さんご自身のことをお伺いしましたが、ここからは失敗展のことを中心にお伝えします。


「そもそもの話ですが、失敗展とはなんでしょうか?また、いつから始まって何回ぐらい実施されたんでしょうか?」


「最初に始めたのは、大学の卒業制作のときです。今回で16回目になります。
失敗展とは、以下のコンセプトに沿って行う失敗の展示会です。

・失敗の肯定がしたい
・多様性を可視化したい

形式は展示になるので、イラストがメインです。加えて、失敗に関する質問も10個ほど準備しています。来場者がその質問に答えながら、失敗に対する気持ちを見直せたり、ほかの人の回答を見たりして、コンセプトを実感できるようになっています」


「今回はイラストがたくさんありますね」


「そうですね、今回は笑えるイラストをたくさん用意しています。Web上のアンケートで寄せられた失敗や、会場内で書いてもらった失敗を基にして、共感したり笑えたりするものをピックアップしました。
絵になると、失敗したときのわだかまりとか悔しさが可視化されるので、肯定できたり笑えたりするんですよ。

自分の失敗を共有できたり、自分の失敗を許したりすることができて、結果として許容を生み出す仕組みにしています。
なので、展示といってもガヤガヤすることが多いです(笑)

そういったガヤガヤした部分から、”失敗の肯定・多様性”を表現できるようにすることが、失敗展になります」

イラストは全部で72枚!

失敗展をやりたいと思ったきっかけ

遠藤さんはなぜ失敗展を始めたいと思ったのか、そのきっかけは大学での卒業制作にありました。


「大学の卒業制作が、自分が思う課題をテーマとして掲げて、それを解決するためのプロジェクトを考案し、発表するものでした。
なにをテーマにしようか考えていたとき、”踏み出し方”をデザインしたいと思ったんです。

やりたいことはあるけど踏み出せない、やりたくでもできないことが沢山あって、できないから課題も解決できないことがすごくもどかしく感じました。 踏み出す一歩をどうにかデザインできないか、ずっとモヤモヤしてたんですよね。

なんで出来ないのかいろいろと分析をした結果、”失敗が怖いからできない”ことに気付きました。失敗が怖いから、あのときやっておけばよかったのにと感じることも沢山あって。
でも、失敗って完全に防ぐのは無理じゃないですか(笑)


「そうですね、0にすることはまず無理ですもんね(笑)」


「そうなんです(笑)しかも、いまの社会は少子高齢化とか地方の過疎化とか、前例のない社会になっています。そんな社会の中では、挑戦しないと生きていけないと思ったんです。
だから、”失敗を防ぐのではなく、失敗との付き合い方を考える“ことにしました。

“失敗を肯定して、共有し、多様性を承認する”この気持ちから、失敗展は始まりました」

共感できるイラストがたくさん

失敗展に参加した人からどういった声をかけられた?

これまでに沢山の来場者が集まった失敗展。その中で、遠藤さんの印象に残る言葉には、どういったものがあったのでしょうか?


「まず気持ちとして、この失敗展は私が私のために始めたようなものなんですが、こんなにも多くの人に共感してもらって嬉しいですし、びっくりしています。

特に印象に残っているのは、一番最初は山形で開催したんですけど、そのときに新聞に取り上げていただいたんですね。そしたら、その記事を見た80代のおばあさんが来てくださって、原稿用紙3枚分にびっしり書かれた失敗談を、3時間ぐらい話されたことは覚えています(笑)」


「3時間ですか、結構な時間ですね(笑)」


「そうですね(笑)でも、そういう内容って近しい関係だと言いにくいと思うんです。職場の人に自分の失敗を話すことって、あんまりしたくないですよね。第三者の目線だからこそ、こういった失敗談が聞けるのかなと思いました。

他には、”失敗日記”という自分の失敗をかき集めた日記を送ってくれた人もいますね。文字に感情が宿っているのもわかって、苦しそうな感じとか、辛そうな感じが読み取れることもありました。

失敗展に来る人は、40〜50代の男性が多いんです。家庭では大黒柱として期待されるし、職場でも役職についている場合も多いので、自分の失敗を見せられないことが多いんでしょうね。
だからこそ、そういった40〜50代の男性からは特に反響が大きいです。泣きながら失敗を話して、失敗を昇華する人もいます」

遠藤さんの失敗談

すでに16回を数える失敗展主催者の遠藤さんに、真っ先に浮かぶご自身の失敗談をお伺いしてみました。


「遠藤さんはこれまでにたくさん失敗展を開催されましたが、ご自身が真っ先に思い出す失敗はどういったものでしょうか?


「失敗展を開催してからこういった取材を受けることが増えたんですけど、あるとき私の失恋話について話したことがあるんです。 それも、本当に取材の最後にちょっと話したことだったんですけど、それが地方紙だけじゃなく英字新聞に載ったんですよ!世界に私の失恋話が発信されちゃいました(笑)」


「おー、それはきつい(笑)」


「まさか全国に自分の失恋話が広まるとは思っていなくて(笑)それは本当に恥ずかしい気持ちになりました・・・

あと、そのときは人生でも苦しい期間だったので、取材中に”人生のどん底”って言ったつもりが、”人生のずんどこ”って言ってしまったんですよ。
私は今これだけ辛いのに、なぜか友達が笑ってくることにムカついてたら、そういう言い間違いをしていたことに後になって気付いて(笑)

そうなるともうその場がどうでも良くなって、失恋もどうでも良くなっちゃいましたね(笑)」

失敗展はこんな人にきてほしい!

数多くの失敗を肯定してきた失敗展。最後に、どういった人に来てもらいたいか、をお伺いしました。


「では最後になりますが、3/31日まで開かれる失敗展、どういった人にきてほしいというのはありますか?


「対象を絞ることはしていませんが、私と同じように失敗が怖いと思う人にはぜひきてほしいですね。 就職前の大学生とか、環境が変わる人には特に来てほしいと思います。

それと、今回の失敗展ではキャプションを新しくしまして、私が隊長を務める”やらかし隊”に所属する、元お笑い芸人の方にキャプションを作っていただきました! 」


「なるほど!ということは、これまでに失敗展へ来場したことがある人も、新たな気持ちで楽しむことができますね。」


「そうですね。今までに来たことがある人も、ぜひ来てほしいと思います!」

取材後記

今回は、失敗展の主催者である遠藤さんにお話を伺いました。

誰しもが、何かしらの失敗をします。そんな失敗を肯定して、笑いあったり共有したりできれば、失敗に対する考えも変わっていきます。

“失敗は悪いことではない”

今回遠藤さんとお話させていただき、改めて前向きな気持ちになることができました。
遠藤さん、本当にありがとうございました!

会場紹介

今回の失敗展の会場は、大阪のど真ん中にあるコワーキングスペース、ONthe UMEDAです。
ONthe UMEDAのコンセプトは、RNS(Real Network Space)。 ふらっと立ち寄り、出会い、繋がり、そして拡がる。 ONthe UMEDAは、自身の可能性をさらにアップデートできる、そんな仕掛けが詰まった大人の居場所です。

共に働き学び合い、共に悩みについて語り、共に未来について妄想する。単なる仕事場の共有だけではなく、そこからコミュニケーションが生まれ、様々なコラボレーションやビジネスが生まれていきます。

新しい時代を生きる人たちが集い、この場所でそれぞれの人生が交錯し、新たな出会いや学びを得ることで、次のアクションを起こしていくための場を作っています。WEBサイトURL:https://onthe.osaka/

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